のぼうず ブログ

「アウトドア好き」煩悩まみれのさえないぼうず。「悟り」を目指し日々修行中。

護摩祈祷で用いる護摩木を寺山林から調達する

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当山では毎月最低でも3回は護摩祈祷を修します。護摩祈祷とは密教の独特の祈祷方法で護摩木(段木、百八支、二十一支)を焚いて様々な供物をその炎(仏の聖なる智慧の炎)に献じて神仏にお供えするという祈祷方法です。

 私はその護摩祈祷で用いる「護摩木」を寺山林から調達し、自作しています。市販品が高野山等のお店に売ってるのですが、値段が高かったり、サイズが小さすぎたり細すぎたりして炉の大きさに合わなかったりします。祈願の趣旨と名前を書いていただく「添護摩木」のみ購入しています。

護摩木は本来「ヤマウルシ」の木を用います。ヤマウルシ - Wikipedia

ヤマウルシは火持ちが大変よく、とても良い炎が上がるのですが、中々大量に調達しにくいのと、採れる季節が11月~2月頃迄と限られますので、私はヒノキの皮むき間伐材を使用しております。ヒノキの皮むき間伐材については過去の記事をご覧ください。

www.nobouzu.jp

「ヒノキの皮むき間伐材」はヒノキが水を吸い上げる夏の季節(だいたい5月~8月頃)に間伐するヒノキの皮をできる限り上まで剥いておきます。それを1年程放置しておくと次第に枯れてきてこのように枯死します。

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此方のヒノキは素性が悪く、ねじ曲がっていた為、傍の素性のいいヒノキと広葉樹ですが椎の木を残そうと思い、皮むき間伐しました。と言いますのは、落葉、常緑含め広葉樹もある程度の残し、ヒノキや杉一辺倒の森ではなく、伊勢神宮の森のように植生豊かな混成林を目指したいと思っております。勿論ヒノキや杉などもお寺の諸堂を解体修理する際に必要ですが、他の種類の木も混じった混成林の方が保水力が高い為、自然災害に強く、植生豊かになり、栄養豊富な養分が川や海へ流れて環境改善につながります。

 

このような枯死の状態になりますと、水分が殆ど抜けきっていますので、伐採した際に非常に軽く、もし隣の木に引っかかる「かがり木」の状態になっても枝が簡単にボキボキと折れるため、「木回し(フェリングレバー)」を使えば簡単に落ちるケースが殆どです。間伐材を手動ウインチと滑車で引っ張って伐倒したら後は玉切り作業です。

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 この地点は車が入れない為、人力で運び出します。生木ですとかなりの重量ですが、この時点で既に丸太の中心部の水分含有率が13.5%ですので相当軽いです。ヒノキは火力が強いですので薪ストーブ用としてなら焚付に使用するか、広葉樹の薪と混ぜて使用する方がいいでしょう。

因みに立ち木の含水率は50%以上で、薪ストーブなどに用いる乾燥薪の含水率は20%以下が好ましいとされます。乾燥していない薪には以下のようなデメリットがあります。

①よく燃えない、火付きが悪い、暖かくない、火力が出ない

②煙突にススやクレオソートが付着しやすく、煙突が早く詰まり火災につながりやすい

 

今回は既に乾燥していて比較的軽い丸太を運び出しますが、車が入る場所まで結構な距離があるので背負子で担いで運び出します。足腰鍛えられてとてもいい運動になります(笑)

またこうして自然に触れていると「私は日ごろ大自然からの恵みを頂戴している」という事を体感するので大自然に対する感謝の念が自ずと沸いてまいります。私の場合、市販品購入のみでは中々そういった心が起きにくかったです。

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この背負子はモンベルの物ですので非常に軽くて丈夫で担ぎやすいです。流石アウトドアメーカーです。60cmの長さの丸太を2本担いでますが生木ですとこの丸太一本でも結構キツイです。

背負子は手動ウインチやワイヤーロープ、フェリングレバー、チェーンソー、ガソリン、チェーンソーオイル、水筒など道具一式(30kg以上!)を運ぶ際も大いに役立ちます👇

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一般の方が護摩木などまず必要ないと思いますが、もし山里暮らしや薪ストーブライフにご興味をお持ちの方は此方の本をお勧めします。とても素晴らしい本です。今回書かせていただいた背負子や皮むき間伐のことは勿論、道具の使い方や手入れの仕方などなど、多岐にわたる分野で書かれています。心温まるカラーイラストと文章で読んでいてワクワクしますよ。

私は個人的に著者の大内正伸氏のファンです。いつかお会いしたいと勝手に思っています。大内氏のブログは此方です。

iroridanro.net

 申し加えておくならば私は林業のプロではありませんし、少しだけプロに教えて頂いた程度の全くの素人ですので参考にならないかと思います。あくまでも作業は自己責任で安全にお願い致します。

今後、今回切った丸太から護摩木を作る作業(護摩木割り)を紹介できればと思います。そして機会があれば今回伐採した皮むき間伐の「枝」の使い道(ある事にとっても使える!!)を紹介します。
最後までご覧いただきありがとうございました。合掌。